暮らし/出雲
vol.17『ローズマリーを捨てないで』 コラム【ア・タ・シ社長になります!】
あえる読者の皆様、こんにちは!
『新入社員A』こと朝日山裕子です。
皆さんは初めての職場、業種でこんなことを言われた経験はありませんでしょうか?
『そんなの当たり前だろう!』
『これは常識だ!』
『そんなこともわからんのか!』
・・・あります?
私は100万回くらいあります。
そんなに飛び抜けて非常識かと言われればそんなことはないと思うのですが、あいにくの田舎育ち。
東京で生活を始めた時に、何度となく言われた記憶があります。
その中でも一番記憶に残っているのは、フランス料理屋さんでバイトをしていた時。
初めてのアルバイトでした。
ある日のこと。
「いらっしゃいませ!」
お客さんです。
明るく元気に挨拶をするのは大得意です。
愛嬌【だけ】は自信があります。
カトラリーとお水を出して注文を伺い、
厨房にメニューを伝えて自分はサラダとメイン料理の皿を準備。
ここまでは完璧です。
先にサラダとスープを出して戻ってくると、
用意していたメイン皿の上に葉っぱが落ちてるじゃありませんか。
あぶない、一緒に出すところだった。
その葉っぱをポイとゴミ箱に捨て、付け合わせを盛ります。
そしてマスターが熱々のフライパンを持ってきてお肉を乗せる。
ジュージューと音を立ててとても美味しそう。
ライスを盛り付け、お肉の皿を持とうとした時。
また葉っぱが落ちてるじゃないですか。
もー、このまま出すところだったじゃん。
よく気付いた私。
だいたい厨房に花瓶を置くなんて衛生的に良くないんじゃない?
と、
またその葉っぱをゴミ箱にポイ、した瞬間
「何やってんだ!!!」
厨房にマスターの声が響きます。
まさか私に言われていると思いませんが、驚いて振り返るとすぐ後ろにむちゃくちゃ怒ってる顔。
「これは肉に添えるハーブだ、見たらわかるだろう!」
「すいません、花瓶の葉っぱが落ちたのかと・・・」
「そんなわけないだろう!常識だ!」
パッと頭に浮かばない人もいらっしゃると思いますので、ここで噂のローズマリーを見てましょう。
知らない人にとってはただの草・・・
しかも乾燥してるからちょっと枯れてる感じにも見えます・・・よね?
今でこそドライフラワーや観葉植物を街中で良く見るようになりましたので何かしら気づくかもしれませんが、当時はまったくそういう思考回路はなく。
(いや、つい数年前も義実家の庭の草抜きをしていてタイムの葉っぱを根こそぎ抜いてしまったのですが・・・)
業界では常識。
でも業界初心者にとっては全てが自分の常識外。
その時は怒られたショックとともに「そんなの教えてもらってないからわからないよ!」と思っていましたが、バイトとはいえその世界でお仕事させてもらうということは、その業界の常識ややり方に従わなければ。
いくら勉強したって、現場はまた異世界。
最初は怒られながら失敗しながら学んでいくしかない。
大切なのは同じ間違いをしないこと。そこから想像できることは予測して動くこと。
バイトとはいえ、お給料をいただく上ではその道のプロとしてやらなければ!!
なーんて、
学生さんのアルバイトでそこまで考える人は実際少ないと思います。
ということは、それを考えて仕事をすると周りの人よりスキルアップが早く、一生懸命な姿を見て上司も可愛がってくれるのではないでしょうか。そうすると仕事が楽しくなって、ただお小遣いを稼ぐだけのバイトではなく自分の成長にも直結していくはずです。
雇い入れる方も、人手が欲しいからアルバイトを募集しているという前提があります。
新しく入ってきた子には、業界の常識を押し付けるのではなく「何もわからないもの」として一から丁寧に教えてあげること。
それにはいつもより自分の時間が取られることをわかってないといけない。
自分に余裕がないと人には教えられませんものね。
言わなくてもこちらの意図を汲んでくれて、
背中を見てやり方を勝手に覚えてくれて、
気も使えて愛想が良くて、
即戦力になるような人が欲しい!
なんて。
甘いです。甘すぎます。
チョコレートのメープルシロップ漬けくらい甘い。
私は、建設業というこれまでの人生で経験したことのない業種で後継者としてやっています。
どちらの立場も同時進行の状態にいる今だからこそ悩むことや感じることがたくさんあって。
働く方も雇用する方も、お互いが良い関係になるようにやっていけるといいのになと。
ただひとつお互いが目指すところは「お客さんに喜んでもらう」ということ。
そこがブレなければすれ違いや過度な期待、落ち込みもなくなるのかな。
そんなことを思いながら。
勉強勉強の毎日です。
新年度からアルバイトを始める、雇い入れる方々にぜひ少し考えてみてもらいたい働き方の話でした。
それでは、今日はこの辺りで。
今回もお読みいただきありがとうございました!
有限会社アサヒ技研工業
新入社員Aこと、朝日山裕子
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Writer:Kohei Kageyama